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CROSS POINT 第2話

ちょっと不思議な体験がきっかけで書く事になった、フリーペーパー TARUPON◆FREEのコラム「冒頭から暴投」の番外編です。
数回に渡り、上段にノンフィクション、下段にそれと同時に進むフィクションの物語を重ねるという妙なスタイルでの連載となります。ご了承ください。

最新話はフリーペーパー TARUPON◆FREE vol.160(2017年12月号)に掲載しています。

Nonfiction

 トイレから出ると、さっきまで立ち読みをしていた個性的なファッションの男性は、既に雑誌コーナーにはいなかった。そして、特にそれを気に留める事なく、アイスコーナーで僕はアイスの物色を始めた。
 気分的に「アイスが食べたい」と思っていても、いざ、商品のラインナップを目にすると、なかなか決められない。食べたいアイスが無いのだ。正確には、どれを食べたいのかがわからない・・・と言った方が正しいのかもしれない。アイスに限らず、コンビニに置いてある商品で「これ食べたい!」と思えるものがあまり無い。街中に事務所を構え、仕事をしていると、どうしてもコンビニの利用率が高くなり、比較的好みのものはあらかた食べ尽くしている。お菓子にしろ弁当にしろ、10年もコンビニ通いしてたら、そりゃ飽きるってもんだ。
 で結局、迷った挙句、目についた「モナカアイス」をひとつ手に取り、レジに並んだ。
 「あ、立ち読みの人だ・・・」
 先ほどの男性が、レジで会計中だった。
 普段なら、知り合いでも無い限り、コンビニで買い物をしている人が気になるなんて事はほとんどないのだが、何故かそうではなかった。それが、そのファッションのせいか、縦にも横にも大きい体格のせいなのか・・・もしくはその両方か・・・。どうも気になってしまい、その男性が購入していた商品にまで目が行ってしまう。
 漫画や週刊誌など雑誌4〜5冊、サワー系のお酒2本、そして大量のスナック菓子・・・。これが彼の深夜のコンビニでの買い物ラインナップだ。横に大きい原因がなんとなくわかった気がする。そしてその男性は、首から下げたポシェットのような財布からお金を出し、会計を済ませた。


fiction

 「とりあえず、こんなものかな」私は、立ち読みで内容を確認し終えた雑誌数冊と、お酒数本、それから「私たちの時代」には無いタイプのお菓子を大量に買い物かごに入れた。お菓子やお酒はともかくとして、雑誌に関しては、それなりに吟味した。今この時代で起こっている事が書かれたもの。そして、私が店内で観察した限りではあるが、来店した客が、もっとも多く手にした雑誌などを中心に選んだつもりだ。おそらく・・・あくまでも仮定の話ではあるが、100年前の雑誌は、「私たちの時代」に持ち帰った際に非常に貴重な資料となる。資料どころか、とある筋の方々にはかなりの高値で売れるはずなのだ。なぜなら、「私たちの時代」では、過去50年を超える資料やデータは全て消去するという世界共通の法律が施工されていて、50年以上前の情報と言えば、老人たちの記憶の中にしか無いのだ。そして、その記憶を書き残す事も許されない。
 後世に残そうと紙に書き記しても、「紙」や「インク」は50年で劣化し、判読不能になる。デジタルデータに関しても、きっちり50年でデータが自動消去される。それを回避するためのシステムを作ろうものなら、良くて無期懲役、下手をしたら極刑の場合もあるらしい。
 そこまで徹底して記録を残さないようにする理由に関しては、代々語り継がれてきた政府の一部の人間の記憶にしかなく、私たちには一切知らされていない。
 そしてそれが「私たちの時代」の「理」とされ、今となっては、ごく一部の人々を除いて、そこに疑問を持つ者たちもほとんどいなくなってきている。疑問を持たずとも、世の中は回って行くし、何不自由ない暮らしと、平和を与えられた社会では、もはや不要な興味と化してきているのだろう。
 幸か不幸か、ひょんな事からこの時代に足を踏み入れてしまった私は、そこに興味を持ってしまったのだ。

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