Add Me!閉じる

お店情報からイベント情報まで。DEEPな小樽の情報をすべてのオタルスキビトへ。

Add Me!メインメニュー

通りすがりの者ですが

通りすがりの者ですが まだ雪が残る4月初旬、風の冷たい午後。外出先から、事務所へ戻る途中の出来事。
 商店街を歩いていると五十〜六十代くらいの女性二人組が、立ち止まって何やら話しながら、しゃがみ込もうとしていた。特に見るでもなく見えていたのだが、彼女達、それぞれひとつずつ、空き缶らしき(中身が残っていたかもしれないという意味で「らしき」ね)ものを手にしていた。
 「こんなところでしゃがみ込んで何?具合悪い?」などと、ぼんやり考えながら僕は彼女等に近づいていった。別に興味があって近づいた訳じゃ無く、丁度、事務所へ帰る道の曲がり角付近でしゃがみ込んでいたので、必然的に近づくカタチになったのだ。
 あまりジロジロ見るのもなー・・・と思い、目をそらそうそしたら、彼女達はオモムロに空き缶を地面に2つ並べて、立ち上がった。そして、そのままその場を立ち去ろうとするのだ。
 僕は一瞬何が起こったのか理解できず、頭の中で今の状況を噛み砕いて理解しようとした。
(年の頃五・六十、女性、二人、空き缶、並べる、何の意味が?、立ち去る・・・ん?これって、空き缶ポイ捨て?いやポイっとは捨ててないので、何?空き缶並べ置き?空き缶置き去り?・・・いや、そんな事はどうでも良い・・・どうみても「捨てる」という行為以外の何ものでもない・・・よな?)。僕の目前2メートルの出来事だった。
 普段、見知らぬ人に自分から声をかける事など、ほとんどしない僕でも、さすがにこの状況を見過ごせるほど良心は腐っていなかった。
 声をかけるのにはかなり勇気が必要だったが、一度言葉を発してしまえば、もう後には引けない、よし、まずはひと言、あとは、諦めて流れに任せよう。
 注:( )内は僕の心の声。
僕「おばさんおばさん、何やってんの?それ、まずいんじゃないの?そんなとこに・・・」
 (言ってから後悔した。僕もおっさんだったw)
おばさんA(以下A)「え?あ?・・そ、そーだよね・・・」
(はぁ?そーだよね?・・・じゃねーよ、なにとぼけてんだ?←だんだん腹立ってきた)
A「あんた、係の人かい?」
(ハァ??意味わかんねーし、係って、なんの係の事いってんの???まったく意味不明。百歩譲って、係だったら何なの?←更に腹が立つ)
僕「へ?係?・・・いや、通りすがりの者ですが・・・」
(咄嗟に出た言葉がコレ?自分で言ってて、めっちゃ可笑しい・・・だめだ笑ってしまいそう←怒りは何処かへ)
A「そうなの?」
僕「係とかなんとかじゃなく、持って帰んなよ、そんなとこに置かないで・・・」
A:「・・・・」
 Aさんは最後、何か言っていたようだか、聞き取れなかった。自分の台詞に爆笑してしまうのを堪えるのが精一杯で、それどころじゃなかった。空き缶を持ったまま歩き出した彼女等を確認し、帰りを急いだ。もちろん事務所に戻ってから一人で笑い転げた。(でも文章にするとあまり可笑しくないのがちょっと悲しい)

 以前、ある方が「何故か朝、ウチの前に空き缶が並べて置いてあるんだけど、あればいったいなんなんだろ」と僕に話していた事を思い出した。
 謎は解けましたよ、Kさん(笑)。 
(TOYA)
  
TARUPN FREE No81(2011年5月号掲載)コラム:冒頭から暴投

Comments are closed.

アーカイブ

カテゴリー