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サンタが消えた日

2-3_3 子供の頃、クリスマスイブの夜に、わが家には毎年サンタクロースがプレゼントを届けてくれていた。自分が欲しいものを紙に書いて、枕元に置いておくと、25日の朝には枕元に欲しかったおもちゃが置いてあった。
 小学2年、毎年サンタが来てくれてるとはいえ、さすがにそろそろその存在を疑い始める年頃である。サンタは本当にいるのだろうか・・・と。
 そこで、僕はサンタの存在を確かめるために、ある作戦を思いついた。
 これまでは、クリスマスの1週間くらい前から、欲しいものを紙に書いて、クリスマス当日に備えていたのだが、紙に書く事をイブの夜の寝る直前にする事で、親がプレゼントを買いに行けない状態を作れば、サンタの存在を確かめられるかもしれない・・・と考えたのだ。
 寝る直前という事は、当然、町のおもちゃ屋さんは閉店している訳で、もしも親がサンタだとすれば、僕の望む物を用意する事は不可能だ。でも、サンタが本当に存在するのであれば、僕の欲しい物をちゃんとプレゼントしてくれるはず。これではっきりする・・・そう思った。
 そして、僕は、作戦を決行した・・・小学2年のクリスマスイブの夜に。
 当時欲しかったのは、おもちゃの「ビリヤードセット」。イブの夜、寝る直前に「ビリヤード・ビリヤード・ビリヤード・・・・」と紙に30回くらい書いて、枕元に置いて寝た。
 さて、翌朝目が覚め、枕元のプレゼントを発見し、僕はあわてて飛び起き、包装紙を破り捨てた。
 中から出て来たのは、なんと、僕が欲しかったビリヤードセットだった。
 「やったー!ビリヤードきたー」と興奮状態のまま、僕は茶の間に行き、両親に「サンタさんきたー」と騒ぎまくったのを今でも鮮明に覚えている。
 結局、僕の作戦の結果出た答えは「サンタクロースは間違いなく存在する」というものだった。
 その後も僕は誰がなんと言おうと、「サンタは存在する」と信じて疑う事なく、2年の月日が流れた。
 そして、僕の前からサンタクロースが消える日がやってきた。それは小学4年生の時のクリスマスだった。僕は、いつもの通り、紙に欲しい物を書いて、イブの夜に早めに寝た。
 次の朝、目を覚ますと、枕元にプレゼントがあり、開封してみると「世界ナントカ文学全集」という本が数冊出て来た。もちろん僕が頼んだモノではなかった。その時頭の中を過ったのは、普段母によく言われていた「本読みなさい」という言葉だった。これまで、僕の望む物を届けてくれていたサンタさんが、突然、読みたくも無い本を持ってくるはずが無い=やっぱ、サンタは親だったんだ・・・と確信した瞬間だった。その時以来、僕の元にサンタクロースが来る事は無くなった。
 大人になって、当時の事を両親に訊ねた事がある。「小学2年の時、どうしてビリヤードを買う事ができたのか?」と。
 両親曰く、「紙には書いていなかったけど、おもちゃ屋さんのチラシを見ているとき、ビリヤードの写真ばかりずーーっと見ていたので、ははーん、コレだな?と、確信した」ということだった(笑)。
 やはり、子供の浅知恵では親には通用してなかったんだ・・・と苦笑い。
 懐かしくも、恥ずかしいクリスマスの思い出である。 
(TOYA)
  
TARUPN FREE No76(2010年12月号掲載)コラム:冒頭から暴投

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